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Googleが独占禁止法に違反
公正取引委員会は2025年4月15日、米アルファベット傘下のGoogleが、スマートフォンメーカーに対して自社アプリやサービスを優先的に扱うよう求めていた行為が独占禁止法に違反するとして、排除措置命令を出した。これは、アメリカの巨大IT企業「GAFAM」に対して日本の公正取引委員会が初めて出した命令となる。
調査によると、Googleは少なくとも2020年7月以降、スマートフォンメーカーに対し、アプリストア「Google Play」の使用許可を与える条件として、ウェブブラウザ「Google Chrome」の搭載と、初期画面への目立つ配置を求めていた。また、検索連動型広告の収益分配においては、競合他社の検索アプリの排除を条件にしていた。2024年12月時点で、国内で販売されるAndroid端末のうち少なくとも8割以上がこれらの契約の対象になっていたという。
公正取引委員会がGoogleに排除措置命令
公正取引委員会は、Googleの違反行為が取引先企業を不当に拘束し、自社を不当に優遇するものと判断した。違反行為の取りやめとともに、今後5年間、再発防止策の実施状況について第三者による監視と報告を義務付ける排除措置命令を出した。命令に従わない場合は、罰金などの行政罰が科される可能性がある。
今回の命令は、米国や欧州で進むGAFAMへの規制強化の流れと一致するもので、特にGoogleは各国で市場支配的地位をめぐる調査や訴訟が続いている。
確約手続きから排除命令への転換
公正取引委員会は近年、「GAFAM」に対する監視を強化し、日本法人への立ち入り検査や市場調査を進めている。独占禁止法の審査は通常非公表ですが、2022年10月のGoogleに対する審査では初めて概要を公表し、広く情報提供を呼びかけた。
その後、2023年11月ごろにGoogleは自主的に改善案を提出し、「確約手続き」の適用を求めたが、今回は審査開始から1年以上が経過しており、違反認定も進んでいたため、公正取引委員会は重い処分である排除措置命令の決定に至ったとみられる。
過去にもGoogleは広告事業での独占的行為に対して確約手続きが認められた例があるが、命令が出されたのは今回が初めてだ。公正取引委員会幹部は「証拠がそろっているのだから命令を出すときには出すという姿勢を示すことが企業側の自主的な改善の機運を生むことにつながる」と話した。
通商交渉への影響も
今回の公正取引委員会の決定は、日本のデジタル市場における競争促進に向けた重要な一歩と評価される。
しかし、その決定は、赤沢亮正経済再生担当相の訪米を控えたタイミングでもあり、米国とのデジタル貿易や通商交渉への影響も注目されている。米通商代表部は、日本の「デジタルプラットフォーム取引透明化法」が米企業の競争力を損なうと懸念を示していた。
よくある質問
Q1.GAFAMとは?
A.GAFAMとは、アメリカを代表する巨大IT企業5社の頭文字を取った呼称だ。以下の5社を指す:
- G:Google(Google)
- A:Apple(アップル)
- F:Facebook(フェイスブック、現在はMeta)
- A:Amazon(アマゾン)
- M:Microsoft(マイクロソフト)
これらの企業は、検索エンジン、SNS、EC、OS、クラウドなどさまざまな分野で世界的に大きな影響力を持っており、時価総額やデータ支配力において他企業を圧倒している。そのため、世界各国の規制当局から独占禁止法や個人情報保護の観点で監視・規制の対象となることが増えている。
Q2.独占禁止法とは?
A.独占禁止法は、公正で自由な競争を守るための法律で、企業が市場を独占したり、価格を不当に操作したり、他社の事業活動を不当に制限する行為を禁じている。消費者の利益を守り、経済の健全な発展を促すことが目的だ。公正取引委員会が違反を調査・是正し、必要に応じて排除措置命令などの行政処分を行う。GAFAMのような巨大IT企業に対する監視も強化されている。
Q3.今回の事件がGoogle株価に与える影響は?
A.今回の排除措置命令により、Google株は短期的に売り圧力を受ける可能性がある。ただし、日本市場の収益依存度は限定的なため、株価全体への影響は軽微とみられる。今後、他国の規制強化が連鎖するかが注目され、コンプライアンスコストの増加が中長期的なリスクとなる可能性もある。今回の命令は象徴的な意味合いが強く、投資家は世界的な規制動向に注目しておく必要がある。